振袖も留袖も女性の正装の和服のことですが、それぞれに特徴や着用できる人に違いがあります。
振袖とは袖の長い着物のことです。袖の長さによって大・中・小の3種類に分けられ、元は未成年の女性が着る和服のことを言いました。現在では未婚女性が着る正装の和服のことを言い、 袖は長いものでは1mを超えるものもあります。若々しくて華やかな柄のものが多く、成人式や結婚式などで着用されます。現在のように未婚女性が着用するものとなったのは、江戸時代に踊り子が袖を振るのには、「愛情を示す」「哀れみを請う」といった意味があると言われていて、それを未婚の女性が真似をしたため、振袖は未婚女性の着物という認識が広がったと言われています。また、袖を振ることには、厄払いや清めなどの意味があるとも考えられており、婚礼の際や成人式に振袖を着用するのは、人生の門出に身を清めるという意味もあります。
留袖というのは、既婚女性が着用する正装の和服のことをいいます。江戸時代の女性が18歳になった時に、それまで着ていた振袖の袖を切って短くしたといわれ、これが由来だと言われています。全体が黒のものを黒留袖、色で染めてあるものを色留袖と言い、身内の結婚式などで着用されます。前者は既婚者のみが着用しますが、後者は未婚者でも着用することができます。昔は、切り落とした袖を保存し、第1子が産まれた際に産着として着用させるという風習もありました。
訪問着とは
訪問着は既婚であっても、未婚であっても着ることが出来ます。また、紋をつければ色小紋と同格になるため、あらたまった場所へも着ていくことが出来ます。但し、昔は背中と両袖の3カ所に家紋を入れていましたが、今は紋を入れないことがとても多いです。
つけ下げと似ているため混同されがちですが、大きな違いは柄であり、格です。訪問着の方が付下げよりも格は上であり、また、すべての柄が続くように作られています。訪問着は、まず生地を採寸通りに裁断し、仮縫いした時に、着物として仕立てた形がおかしくならないよう絵を描きます。その後、再びほどいて染色作業をするため、絵柄が綺麗に切れ目がなくなるのです。上前から下前まで縫い目をまたいで柄が続き、胸、袖の裁ち目の部分も綺麗につながっています。このような模様づけを絵羽と呼びます。
とても華やかな着物なので、結婚式の披露宴やお茶会、パーティ、他家への訪問時など、着ていくことが出来るシーンは多いです。そのため、1枚あると重宝する着物と言えるでしょう。
また、もう少し普段に使う着物として紬訪問着があります。紬で出来ている着物ですが、正式な場には着ていくことが出来ないので、注意が必要です。